松山市北条地区で毎年開催される「北条秋祭り」は、スポーツの日直前の金曜日から月曜日までの4日間にわたり、勇壮な神輿やだんじり、優雅な櫂練船などが繰り広げられる伝統行事です。
中でも国津比古命神社の「神輿落とし」や鹿島神社の「神輿みそぎ」は迫力満点で、日本三大荒神輿のひとつにも数えられます。
本記事では、祭りの日程や見どころ、歴史的背景まで詳しくご紹介します。
北条秋祭りの日程

北条秋祭りは毎年スポーツの日直前の金曜日から月曜日までの4日間にわたり、旧北条市(現松山市北条地区)を舞台に開催されます。
祭りの期間中は、街全体が祭りムードに包まれ、氏子や観客が一体となって勇壮な伝統行事を楽しむことができます。日程は毎年変わるため、事前に確認してから訪れることが推奨されます。
概要
開催日時:毎年スポーツの日直前の金曜日から月曜日までの4日間
場所:国津比古命神社、鹿島神社
金曜日:祭りの開始
祭りは金曜日の朝から始まり、北条地区の各所でだんじりが練り歩きます。半鐘や太鼓の音に合わせて赤い幕で装飾されただんじりが街中を巡行し、祭りの雰囲気を一気に盛り上げます。
この日は祭りの導入として、訪れた人々が最初に迫力ある練り歩きを体感できる日です。
日曜日:国津比古命神社の神輿落とし
日曜日は祭りのハイライトの一つ、国津比古命神社の神輿落としが行われます。
早朝に神輿4基が宮出され、街中を練り歩いた後、御神体を乗せた神輿が39段の石段から繰り返し落とされる勇壮な神事が行われます。神輿が壊れることで御神体が現れるまで何度も繰り返され、その迫力は圧巻です。
月曜日:鹿島神社の櫂練船と神輿みそぎ
月曜日は鹿島神社で櫂練船と神輿みそぎが行われます。早朝に宮出しされた神輿は川に投げ入れられ、清められる荒々しい神事がスタートします。
その後、神輿を船に引き上げ、船上で優雅に舞う櫂練船とともに鹿島神社へと向かい、17時に宮入して一連の神事が終了します。終日、祭りの熱気が続きます。
北条秋祭りとは
松山市北条地区で開催される秋の伝統祭り
北条秋祭りは愛媛県松山市北条地区でスポーツの日直前の金曜日から月曜日までの4日間にわたり開催される秋の伝統祭りです。
かつて風早地方と呼ばれたこの地域は、瀬戸内海に面し、河野水軍の拠点でもあった歴史ある町です。祭り期間中、街全体が活気にあふれ、氏子や観光客が集まって神事やだんじり、船上の舞などを楽しむ姿が見られます。
国津比古命神社と鹿島神社で行われる祭礼の総称
北条秋祭りは、国津比古命神社と沖合の鹿島にある鹿島神社を中心に行われる祭礼の総称です。
両神社では、神輿を使った荒々しい神事や、川や海での神輿みそぎ、船上での優雅な舞「櫂練船」など多彩な行事が繰り広げられます。
地域全体が参加する伝統行事であり、氏子による神輿やだんじりの渡御が祭りを盛り上げます。
「風早の火事まつり」とも呼ばれる勇壮な祭り
北条秋祭りはその激しさから「風早の火事まつり」とも呼ばれます。特に国津比古命神社の39段の石段から神輿を繰り返し落とす「神輿落とし」は、荒々しく迫力満点の神事です。
また、だんじりの練り歩きも火事を連想させる勇壮な演出で知られています。氏子や観光客は神輿やだんじりの熱気に包まれ、祭りの力強さを体感できます。
国津比古命神社の見どころ
神輿落とし
国津比古命神社の秋祭りで最も注目されるのが「神輿落とし」です。祭り当日、御神体を載せた神輿が39段の石段から何度も繰り返し落とされる光景は、見る者を圧倒する迫力です。
この荒々しい神事は、ただ神輿を壊すことが目的ではなく、毎年新調される神輿に神を遷し、神威を更新するという深い意味があります。皇室の新嘗祭のように、清らかな奉納の精神が息づく伝統行事です。
だんじりの練り歩き
祭りでは、北条地区各地から集まった20数基のだんじりが街中を練り歩きます。
半鐘や太鼓のリズムに合わせて、赤い幕や提灯で飾られただんじりが勇壮に進む様子は、まさに「風早の火事まつり」と呼ばれる所以を感じさせます。
だんじり同士が交錯しながら練り歩く迫力ある光景は、古来の祭屋台文化を今に伝える貴重な見どころです。
おひきあげ
「おひきあげ」は、神輿を海に投げ入れ、御神体を引き上げる伝統行事です。
これは、かつて立岩川の決壊で御神体が海に流された出来事を再現しており、自然や神の力への敬意を表しています。
神輿が海から引き上げられる様子は迫力と神聖さを兼ね備え、氏子や観客が一体となって祭りを楽しむ重要な場面です。
鹿島神社の見どころ
櫂練船
鹿島神社の櫂練船は、河野水軍の出陣や凱旋の祝いに由来する伝統行事で、愛媛県無形民俗文化財に指定されています。
早朝に宮出しされた神輿とともに川を進む櫂練船では、掛け声「ホーランエー、ホーオンエー」と共に櫂を操り、鉦鼓の囃子に合わせて優雅に舞います。船上で行われる舞は静と動の調和が美しく、祭りのクライマックスにふさわしい光景です。
観客は川岸や橋の上からその華麗な様子を楽しめ、勇壮さと優雅さが同時に感じられます。
神輿みそぎ
神輿みそぎは、鹿島神社の荒々しい伝統神事の一つで、川に神輿を投げ入れて清める儀式です。
早朝に宮出しされた神輿は、明星川に到着後、何度も川へ投げ入れられ清められます。この儀式は神輿を北条港から鹿島まで運ぶ過程で行われ、氏子や観客を魅了します。
川で清められた神輿はその後、櫂練船と共に鹿島神社へ向かい、宮入することで一連の神事が完結します。荒々しくも荘厳な光景が祭りの特色です。
まとめ
北条秋祭りは、国津比古命神社と鹿島神社を中心に、スポーツの日直前の金曜日から月曜日までの4日間にわたり開催される伝統祭りです。
祭り期間中は、街全体が熱気と興奮に包まれ、勇壮な神輿やだんじりの練り歩き、川上で優雅に舞う櫂練船など、多彩な見どころを楽しむことができます。
特に「暴れ神輿」と呼ばれる神輿落としや神輿みそぎは迫力満点で、見物客もその荒々しさに魅了されます。同時に、川の上で行われる櫂練船の優雅な舞いは祭りに華を添え、勇壮さと優雅さが共存する独特の雰囲気を作り出します。
北条秋祭りは、伝統的な荒神輿の神事と船上の舞いが融合した、全国でも珍しい祭礼です。