秋風が心地よく吹き抜ける頃、松山市の中心にそびえる松山城は、赤や黄金に染まる紅葉に包まれます。築城から400年以上の時を経てなお威厳を放つ天守閣と、山頂から望む松山市街や瀬戸内海の絶景。
そのコントラストが織りなす秋の風景はまさに圧巻です。例年11月下旬から12月上旬にかけてが見頃で、二之丸史跡庭園ではライトアップされた幻想的なモミジが訪れる人々を魅了します。
昼は歴史と自然の調和を、夜は光に包まれた幽玄の美をこの秋、松山城でしか味わえない特別な紅葉体験をしてみませんか。
紅葉の見頃と見どころ概要

日程
見頃:例年11月下旬から12月上旬
場所:愛媛県松山市丸之内1
松山城、ロープウェイ・リフト、東雲口駅舎に関すること:
松山城総合事務所(089-921-4873、8:30~17:30)二之丸史跡庭園、城山公園(堀之内地区)に関すること:
二之丸・堀之内管理事務所(089-921-2000、9:00~17:30)
紅葉の見頃時期
松山城の紅葉は、例年11月下旬から12月上旬にかけてが見頃です。この時期になると、モミジやハゼ、アベマキ、ヤマウルシ、コナラ、クヌギなど多彩な木々が赤や黄色に染まり、城全体が鮮やかな秋色に包まれます。
城山の自然と歴史的建造物が調和し、昼間は澄んだ青空に映える紅葉、夜はライトアップによる幻想的な雰囲気を楽しめます。季節の移ろいとともに色づく木々が、松山城の威厳ある佇まいを一層引き立て、訪れる人々を魅了します。
紅葉が楽しめる場所
紅葉観賞のおすすめスポットは、山頂本丸広場と二之丸史跡庭園です。特に庭園にはヤマモミジが約50本植えられ、歴史的な石垣や櫓とともに美しい紅葉が広がります。
また、国指定史跡である城山公園全体でも紅葉が楽しめ、散策路から見上げる城と紅葉の対比が見事です。松山の中心部に位置しながら、自然の中でゆったりとした秋の風情を味わえるのが魅力です。昼夜で異なる表情を見せる松山城の紅葉は、市内屈指の絶景スポットです。
松山城の魅力と歴史

城の特徴
松山城は、標高132mの勝山山頂に建つ平山城で、日本三大連立式平山城の一つに数えられています。天守は三重三階地下一階の構造を持ち、江戸時代以前に築かれた現存12天守のひとつです。
城内には一ノ門や野原櫓など21棟の建造物が現存し、すべて国の重要文化財に指定されています。防御性と美しさを兼ね備えた連立式天守は、日本の城郭建築の粋を示す存在です。天守最上階からは松山市街や瀬戸内海を一望でき、歴史と自然が融合した壮観な眺望を楽しめます。
歴史の歩み
松山城は1602年(慶長7年)、加藤嘉明によって築城が始まり、約25年をかけて完成しました。1784年(天明4年)に落雷で天守を焼失しましたが、1854年(安政元年)に再建され、現在の姿が残されています。
築城から400年以上を経ても、城の構造や美観は当時の姿をよく伝えています。創建時の桃山文化様式が再現されており、松山の歴史と文化の象徴として市民に親しまれています。司馬遼太郎の『坂の上の雲』でも、文学的象徴として描かれる名城です。
紅葉ライトアップと夜景の魅力
幻想的なライトアップ
松山城の紅葉シーズンには、夜間にライトアップが行われ、城と紅葉が美しく照らし出されます。天守や石垣が柔らかな光に包まれ、赤く染まったモミジが浮かび上がる光景はまさに幻想的です。
城下から見上げると、歴史ある天守が夜空に浮かぶように輝き、松山市中心部の夜景と調和して特別な雰囲気を醸し出します。昼間の荘厳な姿とは異なる、幻想的で静寂に包まれた松山城の美しさを堪能できる貴重な時間です。
天守からの絶景
天守最上階からは、360度の大パノラマが広がります。松山市内の街並みや瀬戸内海の穏やかな海が一望でき、昼夜を問わずその眺望は圧巻です。
特に夕刻から夜にかけては、城下町の灯りが輝き、幻想的な紅葉ライトアップとともに美しい夜景を楽しむことができます。歴史的な建築と自然、そして街の光が調和する光景は、松山城ならではの魅力であり、多くの観光客を魅了しています。
アクセスと観光情報
アクセス方法
松山城へは公共交通機関・車のどちらでもアクセスが容易です。
JR松山駅からは路面電車を利用し、大街道停留所で下車後徒歩5分ほどで到着します。
車の場合は、松山自動車道の松山ICから約30分で城山公園周辺に到着します。
山頂までは徒歩のほか、リフトやロープウェイを利用して登ることができ、四季折々の景色を楽しみながら移動できます。特に紅葉の季節には、美しい木々の彩りを眺めつつ登る道中も見どころのひとつです。
交通と施設情報
松山城は観光客にとって利用しやすい施設が整っています。ロープウェイとリフトを使えば、山頂まで快適にアクセスでき、天守からは松山市街や瀬戸内海を一望できます。
夜は21時まで入場可能で、ライトアップされた城と紅葉が幻想的な雰囲気を演出します。駐車場は10台分あり、市街中心部からのアクセスの良さも魅力です。
項目 | 内容 |
---|---|
ロープウェイ・リフト | 往復520円(大人) |
天守入場料 | 520円(大人) |
入場時間 | 21:00まで |
駐車場 | 10台(420円/2時間) |
豆知識とエピソード
天守のしゃちほこの名前
松山城の天守には、南北に一対のしゃちほこが飾られています。平成16年から18年にかけて行われた大改修の際、新調されたしゃちほこの名前を全国から募集しました。
その結果、南側が「天丸」、北側が「まつ姫」と名付けられました。両者は松山城の守り神のような存在として親しまれています。平成18年6月には松山市長から「お城の住民票」も交付され、城の一部として正式に“住民”扱いされたことで話題となりました。このエピソードは、松山市民の城への深い愛着を象徴しています。
文学と松山城
松山城は、文学作品にもたびたび登場する象徴的な存在です。特に司馬遼太郎の名作『坂の上の雲』の序文では、文学都市・松山を象徴する風景として描かれています。
標高132メートルの勝山山頂に建つその姿は、市街地からもよく見え、古くから松山市民の誇りとして親しまれてきました。歴史的価値だけでなく、文化的象徴としても存在感を放ち、訪れる人々に松山の精神と美しさを伝え続けています。
のSNS情報
ホテルからの眺め
松山城と紅葉
光の庭園の様子
まとめ
松山城の紅葉は、11月下旬から12月上旬にかけて見頃を迎えます。山頂本丸広場や二之丸史跡庭園など、城全体で秋の彩りを楽しむことができ、特にライトアップ時の幻想的な景観は必見です。
天守最上階からは松山市街や瀬戸内海を一望でき、昼夜どちらの時間帯にも魅力があります。加藤嘉明によって築かれた歴史ある城郭は、現存12天守の一つとして今もその姿を残し、文化財として高く評価されています。
アクセスも良好で、路面電車やロープウェイを利用すれば気軽に訪れることができる点も魅力です。紅葉と歴史、そして眺望が融合した松山城は、秋の松山を代表する観光スポットといえるでしょう。