宇和島に春の訪れを告げる伝統行事「西江寺えんま祭」。
毎年旧暦1月16日を含む3日間にわたり開催され、350年以上の歴史を誇ります。畳8畳大の迫力ある「えんま大王図」や地獄極楽絵図の公開、心洗われる法要、そして餅まきや「えんま汁」のふるまいなど、見どころが盛りだくさん。
地元の人々に「えんまさま」と親しまれるこの祭りの魅力と日程をご紹介します。
西江寺えんま祭とは

概要
開催日時:毎年旧暦1月16日を含む3日間
場所:西江寺(宇和島市丸穂甲1140)
お問い合わせ先:西江寺
電話番号:0895-22-0489
宇和島に春を告げる歴史ある祭り
西江寺えんま祭は、愛媛県宇和島市に春の訪れを告げる祭りとして、地元の人々に親しまれています。
古くから続く閻魔信仰に基づき、毎年多くの参拝者が訪れるこの行事は、町全体を華やかな雰囲気に包み込みます。
参道には露店が並び、境内では迫力ある絵図や法要が行われ、歴史と文化を体感できる特別な時間が流れます。
350年以上続く「えんま様」信仰
この祭りは、350年以上の長い歴史を誇り、「えんま様」と呼ばれる閻魔大王を中心とした信仰に根ざしています。
村上天心が描いた畳8畳大の「えんま大王図」や、地獄極楽絵図の御開帳は圧巻で、見る者に深い感銘を与えます。
地元の人々はもちろん、訪れる人々にとっても、信仰や文化の重みを実感できる貴重な機会です。
開催時期と場所の基本情報
西江寺えんま祭は、毎年旧暦1月16日を含む3日間、藪入りと呼ばれる時期に開催されます。
場所は宇和島市寺町の入口にある西江寺で行われ、寺院周辺の商店街も祭りと一体となり賑わいます。
期間中は法要や絵図の御開帳、餅まきや飲食のふるまいがあり、訪れる人々は多彩な催しを楽しみながら春の訪れを感じることができます。
西江寺えんま祭の催し
餅まきで賑わう3日間
えんま祭の楽しみの一つが「餅まき」です。祭りの3日間、西江寺や商店街で毎日1回行われ、集まった人々は空から舞い降りる餅を競って拾います。
子どもから大人まで参加できるこのイベントは、訪れる人々に笑顔と一体感をもたらします。餅まきの雰囲気はまさに昔ながらのお祭りそのもので、地域の絆を感じられる貴重な体験です。
「えんま汁」や「えんま釜」で味わう温もり
えんま祭では、訪れる人々に無料で振る舞われる「えんま汁」と呼ばれるぜんざいが人気です。冷えた体を温め、ほっと一息つける優しい味わいが心に染みわたります。
また、「えんま釜」と名付けられたお茶会も開かれ、地元の人々との交流を楽しむことができます。温かい食べ物や飲み物を囲むひとときは、祭りをより一層心豊かに感じさせてくれます。
懐かしい露店と参道の名物菓子
参道には、昔ながらの雰囲気を漂わせる露店が並び、祭りの賑わいを演出します。
中でも「ひょうたん菓子」や「まつたけ飴」といったえんま祭ならではの名物が人気で、子どもから大人まで楽しめます。
地元ならではの素朴な味わいや、昭和の香りを感じさせる出店は、訪れる人々に懐かしさと温かさを届けます。
法要とあわせて、食の楽しみも欠かせない魅力です。
地元ならではの楽しみ方
ボランティア解説で深まる理解
西江寺えんま祭では、地元ボランティアの方々による丁寧な解説を聞くことができます。
村上天心の迫力ある「えんま大王図」や地獄極楽絵図に描かれた意味を知ることで、ただ眺めるだけでは得られない奥深い体験が可能になります。
歴史や背景を交えた話を聞きながら鑑賞すると、祭りの本質や地域に根付く信仰をより理解でき、訪れる人々に新しい気づきと感動を与えてくれます。
商店街と一体となったお祭りムード
えんま祭の魅力は西江寺だけでなく、周辺の商店街にも広がっています。
祭りの期間中は通りに露店が並び、地元特産の「ひょうたん菓子」や「まつたけ飴」など、ここでしか味わえない味覚を楽しめます。
商店街と寺院が一体となって盛り上げる雰囲気は、地域全体でおもてなしをしているような温かさを感じさせてくれます。地元住民と観光客が一緒になって賑わう様子は、この祭りならではの風景です。
春の訪れを感じる宇和島散策
祭りを訪れた際には、ぜひ宇和島の町歩きも楽しんでみましょう。
市内寺町界隈は歴史ある寺院や昔ながらの街並みが残り、えんま祭とともに散策することで春の訪れをより一層感じられます。
祭りの賑やかさを味わった後、静かな参道や城下町の風情を歩くと、心が穏やかになるひとときを過ごせます。
えんま祭と宇和島の散策を組み合わせることで、より充実した旅の思い出になるでしょう。
まとめ
えんま祭が伝える信仰と文化
西江寺えんま祭は、350年以上にわたり地域の人々に受け継がれてきた信仰と文化を象徴する祭りです。
閻魔大王をはじめとする諸尊を祀り、法要や絵図の御開帳を通じて「人の生と死」や「善悪の教え」に触れることができます。単なる観光イベントではなく、先人たちの祈りや敬虔な思いを現代に伝える大切な場でもあります。
えんま祭は、地域社会の絆を深め、信仰と歴史を体感できる貴重な時間を提供しています。
心と五感で楽しむ宇和島の春の風物詩
えんま祭の魅力は、信仰だけにとどまりません。大迫力の絵図に圧倒され、僧侶の読経に耳を傾けることで心が清められます。
さらに、餅まきでの賑わいや「えんま汁」の温かさ、参道に並ぶ菓子や屋台の味覚は、訪れる人々に春の喜びを感じさせます。視覚・聴覚・味覚を通して味わうえんま祭は、まさに五感で楽しむ宇和島の風物詩。
毎年この時期になると、地元も観光客も心を一つに春を迎える特別な体験が待っています。