松山市で毎年秋に行われる「古町大神輿秋まつり」は、激しくぶつかり合う神輿が見どころの伝統行事です。
中でも「四角さん」と「八角さん」と呼ばれる歴史ある神輿が登場し、町人や農民の力比べが繰り広げられます。
2024年は安全面を考慮し、神輿同士がゆっくり押し合う「練り合わせ」として開催され、迫力ある神輿文化を間近で体感できる貴重な機会となります。
松山古町大神輿秋まつりの日程

概要
開催日時:毎年10月5日から7日
場所:松山城山公園
神事
10月5日(土)午後7時から、大三島神社で「御霊入れ」が行われます。この神事では、神輿に神霊を迎え入れる儀式が執り行われ、祭りの始まりを告げる大切な行事です。
歴史ある古町大神輿の伝統を感じながら、町の人々や参拝者が神輿の安全と祭りの無事を祈ります。
元禄年間から続く松山の神輿文化を支える重要な一幕として、祭りの雰囲気を一層引き立てます。
ロープ巻き
10月6日(日)午後7時から城山公園で行われる「ロープ巻き」は、神輿を搬出する前の準備として欠かせない行事です。
神輿の運行を支えるために必要な綱をしっかりと巻き、参加者が力を合わせて安全に神輿を扱うための大切な儀式です。この行事を通して、祭りに参加する町人や氏子の結束の強さを感じることができます。
本祭り
10月7日(月)の本祭りは、城山公園で行われます。
午前6時からは「練り合わせ」が行われ、四角さん・八角さん・千木神輿がゆっくり押し合いながら迫力のある掛け合いを披露します。
その後、巡丁が行われ、午後6時から再び練り合わせを実施。最後に阿沼美神社への宮入りで祭りは締めくくられます。
町人・農民の力比べを間近で体感できる伝統行事です。
松山古町大神輿秋まつりとは?

「けんか神輿」と呼ばれる伝統文化
松山の秋祭りは「けんか神輿」として知られ、神輿同士がぶつかり合う迫力ある光景が見どころです。神輿が激しく衝突することで、神の力を授かるとされ、町人や農民たちが力を競い合う伝統行事です。
祭りでは観客もその熱気に包まれ、松山ならではの独特な神輿文化を間近で体感できます。2024年は安全面を考慮し、神輿同士がゆっくり押し合う「練り合わせ」として行われます。
四角さん・八角さん・千木神輿の特徴
祭りには三種類の神輿が登場します。黒色の四角型は「四角さん」、金色の八角型は「八角さん」、そして屋根に千木をつけた「千木神輿」があり、それぞれに異なる役割があります。
四角さんは町人、八角さんは農民に親しまれ、鉢合わせや練り合わせの際に力比べが行われます。
千木神輿は藩主から拝領された神輿で、祭りの順序では八角・四角の前に宮入します。
元禄年間から続く歴史
古町大神輿の歴史は17世紀末、元禄年間までさかのぼります。当時から氏子や藩主によって奉納・拝領された神輿があり、今に伝わる三体の神輿はその歴史を物語っています。
18世紀末の松山藩の記録では、八角は大山積大明神、四角は水神、千木は雷神とされ、町人や農民の生活と結びついた信仰の象徴として、長年にわたり大切に受け継がれてきました。
松山古町大神輿秋まつりの神輿
四角さん(黒色・町人神輿)
四角さんは黒色の四角型神輿で、町人たちに親しまれています。元禄年間から続く歴史ある神輿で、松山藩から拝領された「四角神輿」が起源です。
鉢合わせの際には町人の力を象徴し、四角さんが勝つと商売繁盛とされ、地域の人々にとって特別な存在です。屋根には交差した千木がついており、祭りの迫力ある場面で中心的な役割を果たします。
八角さん(金色・農民神輿)
八角さんは金色の八角型神輿で、農民たちに親しまれる神輿です。藩主から拝領された八角神輿は、豊作祈願や地域の五穀豊穣を象徴しています。
鉢合わせでは、八角さんが勝つと五穀豊穣とされ、地域の農業や生活と深く結びついた神輿です。華やかな金色と八角形の美しいデザインが祭りを彩ります。
千木神輿(金色・雷神)
千木神輿は金色の神明造り型で、「チキ」とも呼ばれます。18世紀末の松山藩の記録では雷神として記され、氏子から奉納された神輿です。
四角・八角とともに宮入の順序で登場し、祭り全体の中心をなす重要な存在です。その荘厳な姿は、地域の人々に神聖な力を感じさせ、祭りの雰囲気を引き締めます。
鉢合わせ・練り合わせの意味と神の御神徳
松山の秋祭りでは、神輿同士をぶつける「鉢合わせ」が特徴です。ぶつかり合うことで神の御神徳を授かるとされ、町人・農民の力比べとして地域に伝わってきました。
2024年は安全面を考慮し、神輿同士がゆっくり押し合う「練り合わせ」に変更され、迫力は保ちながらも観客や参加者が安心して見られる形で伝統文化が継承されています。
松山古町大神輿秋まつりの伝統神輿文化
町人・農民の力比べと意味
松山古町大神輿秋まつりでは、町人の「四角さん」と農民の「八角さん」が鉢合わせを行い、力比べをします。
この勝敗にはそれぞれ意味があり、町人の四角さんが勝てば商売繁盛、農民の八角さんが勝てば五穀豊穣とされ、地域の人々にとって神聖で重要な行事です。
神輿の激しいぶつかり合いは、神に力を授かる儀式としても長く受け継がれ、松山独自の伝統神輿文化として知られています。
安全面を考慮した「練り合わせ」の特徴
2024年は安全面を考慮し、神輿同士が激しくぶつかる従来の形式から、近づいた状態でゆっくり押し合う「練り合わせ」に変更されました。
この方法でも、神輿の迫力や力比べの緊張感は十分に楽しめ、観客は安全に伝統行事を体験できます。四角さん・八角さん・千木神輿の歴史ある姿を間近で見られる貴重な機会です。
まとめ
松山古町大神輿秋まつりは、17世紀末の元禄年間から続く歴史ある祭りで、「けんか神輿」と呼ばれる迫力ある神輿のぶつかり合いが見どころです。
町人の四角さん、農民の八角さん、そして千木神輿の三体が登場し、それぞれの神輿に込められた神の御神徳を授かる伝統が受け継がれています。
2024年は安全面を考慮し、神輿同士がゆっくり押し合う「練り合わせ」として開催され、観客も安心して祭りの迫力を楽しむことができます。
宮出しや宮入り、午前と午後の練り合わせなど、見どころが一日を通して続くのも魅力です。
松山ならではの伝統神輿文化を間近で体感できる貴重な機会として、多くの人々に親しまれています。