松山市勝岡町にある勝岡八幡神社では、県内でも珍しい伝統行事「神輿一体走り」や「川狩神事」が行われる秋まつりが開催されます。
勇壮な神輿が参道を疾走する迫力ある光景や、清流で神輿を祓い清める荘厳な神事は必見。松山市の無形民俗文化財にも指定されている迫力の行事は、毎年多くの人々を魅了します。
地域に受け継がれてきた由緒ある祭りの見どころと、今年の日程をご紹介します。
松山勝岡八幡神社秋まつりの日程

概要
開催日時:毎年10月5日から7日
場所:勝岡八幡神社
例大祭の日程
松山市勝岡町の勝岡八幡神社で行われる秋まつりは、毎年地域をあげて盛大に催される伝統行事です。
10月5日に例大祭が執り行われ、御輿渡御や祭典などが行われます。そして10月7日には安城寺地区で「川狩神事」が行われ、褌姿の青年たちが御輿を久万川へ担ぎ入れ、流水で祓い清めます。
この神事は、御神体を川で清めた故事に由来し、地元の人々にとって特別な意味を持つ祭礼です。
一体走りの開始時間
勝岡八幡神社秋まつりの大きな見どころである「神輿の一体走り」は、例大祭の日に合わせて行われます。
10月5日、午前7時30分頃から始まります。褌姿に鉢巻を締めた青年たちが、参道およそ100メートルを神輿を担ぎ疾走する姿は圧巻です。
神輿を揺らさずに走り抜ける技が競われ、成功すると鈴が鳴らずに神輿が宙に浮いたように進む神秘的な瞬間が訪れます。観客を魅了する迫力満点の伝統神事です。
勝岡八幡神社の由緒と背景

社名の由来
勝岡八幡神社の名前は、小千命がかつてこの地で兇賊を平定した勝ち戦に由来します。戦いに勝利したことで、白人城の地名を「勝岡」と改め、地域の人々は平安を取り戻しました。
この功績を称えて、先祖たちは小千命を深く敬い、御霊を祀るようになりました。こうした歴史的背景により、勝岡八幡神社は地域の守護と勝利の象徴として長く信仰されてきました。
神社の歴史
もともと白人宮として知られていた社殿は、後花園天皇の永享年間に戦火で焼失しました。その後、霊験あらたかな御霊を奉じるため、勝岡の地に遷宮し、宇佐八幡を勧請しました。
現在の勝岡八幡神社では、応神天皇、神功皇后、日売大神を主祭神として祀り、地域の人々から厚く信仰されています。
この歴史的な経緯により、神社は由緒深い場所として地域文化に重要な位置を占めています。
松山勝岡八幡神社秋まつりの見どころ
見どころ1:神輿の一体走り
勝岡独特の神事
勝岡八幡神社の秋まつりで行われる「神輿の一体走り」は、県下でも例を見ない特別な神事です。青年たちが鉢巻き、襷掛け、褌姿で身を清め、神社参道およそ100メートルを御輿を担いで疾走します。
見どころは、御輿を上下左右に揺らさずに走るその姿。美しいフォームで走り切ることが重視され、鈴の音が止むほど水平に保たれる瞬間は、まさに神人一体の神秘を感じさせます。
迫力と優雅さが同居する光景に観客から大きな拍手が送られ、境内は熱気に包まれます。
歴史と文化的価値
「一体走り」の歴史は古く、宝暦4年(1754年)の和気郡代官所の記録に「勝岡八幡宮出走込み」として登場しています。このことから江戸時代中期にはすでに行われていたことが分かります。以来、長きにわたって地域に受け継がれ、現在は松山市の無形民俗文化財に指定される貴重な伝統行事です。
勇壮な御輿の疾走は、単なる祭りの見せ場にとどまらず、勝岡八幡神社の歴史や信仰の深さを体現しています。今もなお続くこの神事は、地域の誇りであり文化財としての価値を持ち続けています。
見どころ2:安城寺の川狩神事
神事の内容
安城寺の川狩神事は、秋祭り当日に青年取締役と神輿を担ぐ輿丁たちが褌姿となり、御輿を久万川へ担ぎ入れて清める伝統行事です。冷たい流水に御輿を浸すことで、穢れを祓い神聖さを取り戻すとされています。
祭りの中でも勇壮かつ厳かな場面であり、参加者の掛け声と水しぶきが相まって迫力ある光景を生み出します。
由来と伝承
この神事は、かつて勝岡八幡神社の御神体を運ぶ際、石段を上がれなくなった出来事に由来します。
御輿を川で洗い清めたところ、再び軽々と進むことができたと伝えられています。この故事から、太山寺川は「祓川」とも呼ばれるようになり、地域の信仰と伝承を象徴する重要な意味を持つ神事となりました。
現在の斎場
長年続いた久万川での川狩神事は、河川の汚染により昭和42年をもって一時中断されました。
その後は太夫田の小川で継続されてきましたが、平成の時代に入り、地元の強い要望と愛媛県の親水公園整備事業が結びつき、現在のプール式川狩り斎場が誕生しました。
今では安心して神事を続けられる場として整備され、多くの見物客が訪れています。
まとめ
松山市勝岡町の勝岡八幡神社秋まつりは、例大祭と川狩神事が見どころです。例大祭では青年たちが参道を神輿を担ぎ疾走する「一体走り」が行われ、江戸時代中期から続く松山市の無形民俗文化財です。美しいフォームで神輿を走らせる勇壮な光景が楽しめます。
安城寺地区の川狩神事は、御輿を久万川に入れて流水で清める神事で、太山寺川は「祓川」と呼ばれています。現在はプール式斎場で安全に行われ、地域の伝統を今に伝えています。
勝岡八幡神社は小千命による勝ち戦に由来する由緒深い社で、秋まつりを通じて地域文化と信仰の歴史を感じることができます。